送電線工事でドローンは何を運べる?資材搬送とパイロットロープ架線の活用例
送電線工事では、鉄塔や作業地点まで資材を運ぶ必要があります。
しかし、鉄塔が建てられているのは、車両が入れない山間部や急斜面であることも少なくありません。現場によっては、作業員が資材を背負って何度も山道を往復したり、仮設モノレールや有人ヘリコプターを手配したりする必要があります。
こうした送電線工事における資材運搬の負担を軽減する方法として、活用が進み始めているのが物流ドローンです。
物流ドローンは、工具や部材などを鉄塔付近へ届けるだけでなく、架線作業で最初に使用するパイロットロープの展張にも活用できる可能性があります。
この記事では、送電線工事でドローンを活用して運べるものや、資材搬送とパイロットロープ架線の特徴、導入前に確認したいポイントを解説します。
送電線工事で発生する資材搬送の課題
送電線の鉄塔は、山の尾根や急斜面など、地上からのアクセスが難しい場所に設置されていることがあります。
車両が鉄塔付近まで入れない現場では、最寄りの道路や資材置場から作業地点まで、人力で資材を運ばなければなりません。
一つひとつの資材がそれほど重くなくても、距離や高低差が大きければ、作業員への負担は増えていきます。繰り返し山道を歩くことで時間がかかるだけでなく、転倒や滑落、熱中症などのリスクも考えなければなりません。
大量の資材を運ぶ場合には、有人ヘリコプターや仮設モノレールが有効です。一方、数十kg単位の資材を繰り返し運ぶ現場では、準備や費用とのバランスから、別の搬送方法が求められることがあります。
その中間を担う手段として考えられるのが物流ドローンです。
送電線工事でドローンは何を運べる?
送電線工事では、現場の条件や機体の積載能力に応じて、次のような資材の搬送が考えられます。
工具や作業用機材
ボルトや金具などの部材
塗料や補修用資材
ロープ類
作業員用の水や食料
バッテリーや発電機周辺の機材
緊急時に必要となる物資
大型物流ドローンを使用すれば、複数の資材をまとめたり、重量に応じて小分けにしたりしながら搬送できます。
ただし、カタログ上の最大積載量を、そのまますべての現場で運べるとは限りません。
実際に運搬できる重量は、飛行距離、高低差、標高、気温、風、離着陸場所、バッテリーの状態などによって変わります。荷物の形状や重心、吊り下げ方法も安全性に大きく影響するため、事前の現地調査と搬送計画が必要です。
パイロットロープ架線にも活用できる
送電線工事では、鉄塔間にいきなり重い電線を渡すわけではありません。
まず比較的軽量なパイロットロープを鉄塔間に渡し、そのロープを利用して、段階的に太いロープやワイヤー、電線などを引き込んでいきます。
従来は、作業員が地上を移動してロープを渡したり、有人ヘリコプターなどを利用したりする方法があります。しかし、谷や河川、急斜面などがある現場では、地上での移動自体に時間と危険が伴います。
ドローンでパイロットロープを運ぶことができれば、作業員がロープを持って谷や斜面を移動する区間を減らせる可能性があります。
鉄塔間の距離や高低差、周辺の障害物を確認し、適切な飛行ルートを設定したうえで、ロープを次の鉄塔や指定地点まで運びます。その後、パイロットロープを利用して、必要なロープや電線を順番に引き込んでいきます。
ただし、ロープを接続した状態で飛行すると、ロープの重さだけでなく、地面や樹木との接触による抵抗や、風による横方向への力も機体に加わります。
単に荷物を吊り下げて運ぶ飛行とは異なるため、ロープの長さや重量、繰り出し方法、飛行速度、緊急時の切り離し方法まで含めた計画が必要です。
ドローンを利用するメリット
送電線工事で物流ドローンを使用する大きなメリットは、作業員の負担と危険な移動を減らせることです。
山道を何度も往復する作業の一部をドローンに置き換えることで、搬送に必要な人数や時間を抑えられる可能性があります。
また、地形への影響を抑えやすいことも特徴です。
仮設モノレールを設置する場合は、設置ルートや工事期間を考える必要があります。物流ドローンは空中を移動するため、大規模な搬送設備を設置しにくい現場や、搬送量が比較的少ない現場で活用しやすい場合があります。
ただし、ドローンが有人ヘリコプターや仮設モノレールをすべて置き換えるわけではありません。
大量の資材を連続して運ぶ場合は、有人ヘリコプターやモノレールの方が効率的なこともあります。搬送量、距離、工期、地形などを踏まえ、現場に適した方法を選ぶことが重要です。
導入前には飛行経路の確認が必要
送電線工事でドローンを活用する際は、事前に飛行経路を確認します。
特に注意したいのは、次のような場所です。
道路や鉄道を横断する経路
住宅や建物の近く
既設の送電線や通信線の周辺
樹木が飛行経路をふさいでいる場所
離着陸地点が狭い場所
携帯電話の通信が不安定な山間部
作業員や第三者が立ち入る可能性のある場所
飛行方法によっては、航空法上の許可・承認や関係機関との調整が必要です。また、送電設備の近くでは、事業者や元請会社が定める安全基準や作業手順にも従わなければなりません。
現地調査では、飛行距離や高低差だけでなく、荷下ろし地点の広さ、機体を目視できる位置、補助者の配置、緊急着陸地点なども確認します。
現場に合った搬送方法を選ぶことが重要
物流ドローンは、送電線工事におけるすべての搬送を置き換えるものではありません。
一方で、人力では負担が大きく、有人ヘリコプターや仮設モノレールを利用するほどの搬送量ではない現場では、有力な選択肢になる可能性があります。
工具や補修用資材の搬送、塗料やロープ類の運搬、パイロットロープの展張など、用途に応じた活用方法を検討できます。
株式会社Next innovationsでは、大型物流ドローン「DJI FlyCart 100」を使用し、山間部や鉄塔関連現場での資材搬送に対応しています。
飛行距離、高低差、運搬物の重量、荷下ろし地点などを確認したうえで、ドローンを活用できるか検討いたします。送電線工事における資材搬送やパイロットロープ架線でお困りの方は、お気軽にご相談ください。