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ドローン農薬散布の速度は何km/h?基準・効率・散布への影響を解説
ドローン農薬散布2026.09.23

ドローン農薬散布の速度は何km/h?基準・効率・散布への影響を解説

ドローンによる農薬散布を検討するとき、「どのくらいの速度で飛ぶのか」「速く飛ばせば作業効率も上がるのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

農業用ドローンは、人が圃場内を歩いて散布する方法と比べて、短時間で広い範囲に散布できることが大きな特徴です。しかし、飛行速度を上げれば必ず効率的になるわけではありません。

速度が速すぎると、薬剤が作物に十分付着しなかったり、散布ムラが発生したりする可能性があります。反対に、必要以上に遅く飛行すると、薬剤を多く散布してしまうことや、作業時間が長くなることもあります。

この記事では、ドローン農薬散布の速度の考え方や基準、作業効率への影響、速度を決める際の注意点を解説します。

ドローン農薬散布の速度はどのくらい?

農薬散布時の飛行速度は、使用する機体、薬剤の散布量、散布幅、作物、圃場の形状などによって変わります。そのため、「農薬散布は必ず時速○kmで飛行する」という全国共通の速度が決められているわけではありません。

農業用ドローンの設定画面では、一般的に「m/s(メートル毎秒)」で速度を設定します。

  • 5m/s=時速18km

  • 8m/s=時速28.8km

  • 10m/s=時速36km

  • 12m/s=時速43.2km

数字だけを見るとかなり速く感じますが、実際の散布では圃場の端で減速や旋回を行います。また、離着陸、薬剤の補給、バッテリー交換などの時間も必要になるため、設定速度だけで全体の作業時間を判断することはできません。

ドローン農薬散布の速度に基準はある?

散布速度を決めるときに最も重要なのは、速さそのものではなく、決められた面積に適正な量の薬剤を均一に散布できることです。

速度は、主に次の条件を確認して決めます。

使用する農薬の散布量

農薬には、対象作物、使用時期、希釈倍率、10aあたりの使用量、使用回数などが定められています。まず農薬のラベルを確認し、その使用方法を守ることが前提です。

同じ速度でも、ポンプの吐出量や散布幅が異なれば、10aあたりに散布される薬剤量は変わります。速度だけを単独で決めるのではなく、必要な散布量に合わせて機体側の設定を調整します。

散布幅

散布幅が広ければ、一度の飛行でカバーできる面積は増えます。しかし、機体が対応できる最大幅で飛ばせばよいとは限りません。

作物の種類、飛行高度、風の状態、ノズルやスプリンクラーの特性によっては、散布幅を広げすぎると外側の薬量が少なくなり、散布ムラにつながる可能性があります。

たとえば水稲散布では、機体性能だけでなく、圃場条件やドリフトのリスクも考えながら散布幅を設定します。

飛行高度

作物からの高度が高すぎると、風の影響を受けやすくなり、薬剤が目的の場所から外れる可能性があります。一方で、低すぎる飛行は作物との接触や散布幅の不足につながることがあります。

速度、散布幅、飛行高度は別々に考えるものではありません。作物に対して均一に散布できる組み合わせを選ぶ必要があります。

風や圃場周辺の環境

同じ圃場でも、当日の風向や風速によって適切な速度は変わります。住宅、道路、ビニールハウス、別の作物などが近い圃場では、特にドリフトへの配慮が必要です。

風が強い場合に速度だけを落として対応するのではなく、状況によっては散布を中止または延期する判断も求められます。

速度を上げると作業効率はどう変わる?

直線飛行だけを考えれば、速度を上げるほど短時間で広い面積を飛行できます。

理論上の作業面積は、次の式で考えられます。

速度(m/s)×散布幅(m)×0.36=1時間あたりの理論作業面積(ha) 
※0.36は、「㎡/秒」を「ha/時間」に換算するための係数です。

たとえば、速度12m/s、散布幅6mの場合、単純計算では1時間あたり約25.9haです。ただし、これは旋回、離着陸、薬剤補給、バッテリー交換、圃場間の移動などを含まない理論値です。

実際の作業効率は、次のような条件に大きく左右されます。

  • 1枚あたりの圃場面積と形状

  • 圃場間の距離

  • 電線や立木などの障害物

  • 薬剤の補給方法

  • バッテリー交換や充電の体制

  • 圃場周辺の安全確認に必要な時間

大きく整った圃場では速度を活かしやすい一方、小区画や変形した圃場では旋回や減速が増えます。そのため、カタログ上の速度や理論値だけでは、実際に何ha散布できるかを正確に判断できません。

速度が散布に与える影響

速度が速すぎる場合

設定した吐出量に対して飛行速度が速すぎると、単位面積あたりの散布量が不足する可能性があります。また、急な加減速や旋回が多い圃場では、散布状態が安定しにくくなることもあります。

自動飛行では速度と吐出量を連動させられる機体もありますが、設定が適切であることが前提です。実際の散布前には、水などを使用した試運転で吐出状態や散布幅を確認することが大切です。

速度が遅すぎる場合

速度が遅すぎると、設定によっては同じ場所に多くの薬剤がかかる可能性があります。また、飛行時間が長くなり、バッテリー消費や作業時間の増加にもつながります。

大切なのは、速いか遅いかではなく、飛行速度と吐出量が適切に組み合わされているかどうかです。

適切な速度を決めるためのポイント

ドローン農薬散布の速度を決める際は、次の点を事前に確認します。

  1. 農薬ラベルに記載された使用方法と散布量を確認する

  2. 使用する機体の取扱説明書や推奨設定を確認する

  3. 作物や生育状況に合った散布幅と高度を設定する

  4. 圃場周辺の住宅、道路、他作物などを確認する

  5. 当日の風向・風速を確認する

  6. 必要に応じて水による試験散布を行う

初めて散布する作物や薬剤では、最初から速度を上げすぎず、散布状態を確認しながら調整することが重要です。

速度だけでなく散布全体の設計が重要

ドローン農薬散布の速度には、一律の正解があるわけではありません。機体が高速飛行に対応していても、薬剤量、散布幅、高度、風、圃場周辺の環境が合っていなければ、安全で均一な散布にはつながりません。

作業効率を高めるためには、飛行速度を上げるだけでなく、薬剤補給やバッテリー交換、圃場を回る順番まで含めて計画する必要があります。

株式会社Next innovationsでは、大型農業用ドローン「DJI AGRAS T70P」を活用し、圃場や作物、散布条件に合わせた農薬散布を行っています。

「どのくらいの時間で散布できるのか」「所有している圃場にドローン散布が向いているか」など、農薬散布に関するご相談も承っております。散布面積や作物、地域が分かる範囲でお気軽にお問い合わせください。

ドローン農薬散布の速度は何km/h?基準・効率・散布への影響を解説